うさぎ用の牧草をチモシーと呼ぶのはなぜ?|専門農家がわかりやすく解説します

こんにちは!うさぎ専門農家のオジマです。
私は高知県の農園で、うさぎさんのためのチモシーやイネ科牧草、野菜、ハーブを栽培している生産者です。

日々うさぎさんの食べる“本物の牧草”と向き合う中で、飼い主さんからよくいただく質問があります。

それが、

「なぜ、うさぎの牧草を“チモシー”って呼ぶのですか?」
「牧草=チモシー、という認識で合っていますか?」

というもの。

実はこの疑問を持つ飼い主さんはとても多く、SNSやメッセージでも頻繁にいただきます。
この記事では、うさぎ牧草を長年育ててきた生産者の視点から、
「チモシーとは何なのか」
「なぜ牧草をチモシーと呼ぶようになったのか」
「チモシー以外の牧草の違い」
を、やさしく分かりやすくお話しします。


なぜ、うさぎ牧草=チモシーという呼び方が広まったの?

まず結論からお伝えすると…

● うさぎ用牧草として販売されている商品の多くが“チモシー”だから

これがいちばん大きな理由です。

ペットショップでも、ネットショップでも、
「うさぎ用牧草=チモシー」
という形で並んでいることがほとんど。

そのため、

  • 初めてお迎えした飼い主さん
  • 牧草に詳しくない方
  • ペットショップのスタッフから説明を受けた方

こうした飼い主さんの間で、「牧草=チモシー」という認識が定着しやすくなったと考えられます。


そもそもチモシーとは何?

● チモシーは“牧草の品種の1つ”です

チモシーは、イネ科の多年草。
うさぎさんに必要な「不溶性食物繊維」がたっぷり含まれていて、胃腸の健康維持にもっとも適した牧草です。

特に以下の理由で、うさぎ用牧草として圧倒的に普及しています。

  • 繊維量が多く、胃腸の動きを助ける
  • 咀嚼回数が増えて、歯の伸びすぎを防げる
  • カロリーが低く、太りにくい
  • 乾燥させても香りが残りやすく、嗜好性が安定しやすい

この“うさぎの体に最適な特徴”が、
うさぎ牧草=チモシーが定着した大きな理由です。


飼い主さんがチモシーだけを牧草だと感じてしまう理由

牧草には本来多くの品種があるのに、
飼い主さんが「チモシーだけだと思っていた」というケースは珍しくありません。

その背景には…

① 店頭で目にするのがほぼチモシーだけ

ホームセンターやペットショップの棚の8割以上がチモシーです。

② パッケージに「牧草=チモシー」と書かれている商品が多い

「うさぎの主食 チモシー」「初めてのチモシー」などの表記。

③ ネット検索すると“チモシーを主食に”という情報が山ほど出てくる

チモシーが大事であることは正しいのですが、それが
「牧草=チモシーだけ」
と誤解されやすい構造
につながっています。


実際には、チモシー以外にもたくさんの牧草があります

うさぎ専門農家として栽培している牧草だけでも、年間10種類以上。

その中でも代表的なイネ科牧草は以下の通りです。

チモシー

もっとも一般的で繊維量が多い。

イタリアンライグラス(イタライ)

香りが強く、柔らかくて食いつきも安定。

オーツヘイ(えん麦)

香ばしく、うさぎさんの好む風味。

オーチャードグラス

太めの葉で柔らかく、食べやすい。

ウィートヘイ(小麦)

優しい香りで、チモシーが苦手な子に人気。

スーダングラス

繊維が豊富で、しっかり噛む練習にも最適。

こうしたイネ科牧草は
すべてうさぎさんに与えてOKな主食牧草です。


さらに、牧草には“マメ科”もあります(与え方には注意)

イネ科とは別グループで、
アルファルファなどのマメ科牧草も存在します。

ただしこちらは、

  • カロリーが高い
  • カルシウム量が多い

という特徴があるため、
成長期・妊娠授乳期・体重不足の子に限定して与える食材です。

「食べ放題に向いているのはイネ科牧草」
ということだけ覚えておくと安心です。


なぜ牧草の種類を知っておくことが大切なの?

飼い主さんに牧草の種類を知ってほしい理由は2つあります。

① 食欲が落ちた時の“選択肢”が増える

チモシーが急に食べられなくなることは珍しくありません。

そんなとき、
イタリアンライグラスやオーツヘイを知っていれば、
食欲の落ちたうさぎさんでも食べられる可能性が広がります。

② 高齢期になっても安心

歳を重ねると、硬いチモシーが噛みにくくなる場合があります。
若いうちから色々な牧草に慣れている子は、
高齢になっても“食べられる牧草”が多く残っています。


専門農家として伝えたいこと ― 牧草はチモシーだけではありません

私自身、農園で日々たくさんの牧草に触れながら痛感しているのは、
**「うさぎさんが食べられる牧草は、想像以上に多い」**という事実です。

そして、飼い主さんの多くがそれを知らずに悩んでいること。

  • 「チモシーを食べないから困っています」
  • 「選べる牧草が他にあるなんて知らなかった」
  • 「もっと早く知りたかった」

そんな声をこれまでたくさん聞いてきました。


このサイトでは“牧草の幅を知る”ことを大切に発信します

チモシーは確かに素晴らしい牧草です。
ですが、それだけがすべてではありません。

  • 香りの違い
  • 食感の違い
  • 栄養の違い
  • 刈り取り時期の違い
  • 産地の違い

牧草には奥深い世界があり、
うさぎさんの個性に寄り添って選ぶことで、食事の質が大きく変わります。

これからも農家として、専門家として、
うさぎの飼い主さんにとって“迷わない牧草選び”ができるよう、わかりやすく情報をお届けしますね。


まとめ:牧草=チモシーという認識は間違いではない。でも…

最後に要点をまとめます。

  • チモシーは牧草の品種の1つ
  • うさぎ用牧草として最も普及しているため、牧草=チモシーと呼ばれがち
  • 牧草にはチモシー以外にも多くのイネ科がある
  • 食欲・好み・年齢に応じて“選べる牧草”はとても大切
  • マメ科牧草(アルファルファ)は食べ過ぎ注意

これからはぜひ、
「うさぎの牧草=チモシーを含む“いろいろなイネ科牧草”」
という少し広いイメージで見てもらえると嬉しいです。

うさぎさんにとって、牧草は健康の土台。
飼い主さんと一緒に、もっと楽しく、もっと安心して選べる世界をつくっていけたらと思っています。