うさぎさんがチモシーを食べない場合は?

うさぎさんがチモシーを食べてくれない。

この悩みは、本当に多くの飼い主さんから寄せられる声のひとつです。

「健康のためにはチモシーが基本」と耳にするたびに、目の前で口をつけてくれないうさぎさんを見て、不安になったり落ち込んだりすることもあるでしょう。

毎日のごはんの時間が「喜び」ではなく「心配」に変わってしまう瞬間は、飼い主さんにとって大きなストレスです。

けれど、まず知っておいていただきたいのは「チモシーだけが正解ではない」ということです。


■ チモシーは“選択肢のひとつ”にすぎない

ペットショップやネットショップの売り場で最も目立つのは、確かにチモシーです。

特に「1番刈り」「2番刈り」といったパッケージで並んでいるので、「これを食べなきゃいけないのかな」と思い込みやすいのも無理はありません。

しかし実際には、チモシーは“イネ科牧草のひとつの種類”にすぎません。

海外では代表的に流通しているためメジャーな存在になっていますが、日本のうさぎさんたちが必ずしもチモシーを気に入るわけではありません。

また、「乾燥牧草=チモシー」と思っている方も少なくありませんが、それも誤解の一つです。

牧草にはさまざまな種類があり、風味や食感も大きく異なります。

人間が「お米よりパンが好き」「うどんより蕎麦が合う」といった嗜好を持つのと同じように、うさぎさんにも“好み”が存在します。


■ 代わりに試したい牧草の種類

もしチモシーを口にしない場合、ぜひ他の牧草を試してみましょう。

代表的な選択肢には以下のようなものがあります。

  • イタリアンライグラス:香りが甘く柔らかめで、チモシーを嫌う子でも食べやすい。
  • オーツヘイ:ほんのり甘みがあり、食欲が落ちている時にも口にしやすい。
  • オーチャードグラス:繊維質がしっかりしつつ柔らかさもあるため、シニアの子にも向いている。
  • ウィートヘイ(小麦牧草):甘い香りで嗜好性が高い。乾燥した穂の部分を好む子も多い。
  • スーダングラスワイルドチモシーなど、日本ではあまり馴染みのない種類もありますが、嗜好性が高いことで知られています。

「チモシーがダメなら終わり」ではなく、「食べてもらえる牧草を探す旅」と考えていただくと、気持ちが少し楽になるはずです。


■ なぜ牧草を食べてほしいのか

「チモシーを食べてくれない」という悩みの裏には、「繊維質不足が心配」という思いがあります。

牧草の役割は、歯の摩耗・腸内環境の維持・満腹感の調整など、うさぎさんの健康に直結しています。

そのため「チモシーを食べない=健康を損なうのでは」という不安につながりやすいのです。

ですが大切なのは「チモシーを食べること」そのものではなく、「十分な繊維質を摂ること」。

つまり、うさぎさんが喜んで食べられる牧草を見つけることが何よりも大事です。


■ 食べてくれやすくする工夫

新しい牧草を与えるときには、次のような工夫を試してみてください。

  1. 少量ずつ試す:いきなり大量に与えると警戒されます。香りを嗅がせ、口にするきっかけをつくりましょう。
  2. ミックスする:今まで食べていたフードや他の牧草に少しずつ混ぜて慣れさせます。
  3. 鮮度を重視する:牧草は乾燥品でも香りが命。収穫直後に乾燥されたものは嗜好性が高く、食欲を引き出しやすいです。
  4. 与え方を工夫する:牧草フィーダーの位置や高さを変えるだけでも反応が違います。

■ うさぎ畑が目指すサポート

うさぎ畑では、高知県仁淀川流域の自社農園で育てた牧草を、その日のうちに乾燥・加工して直送しています。

「うちの子はチモシーを食べないから困っている」という飼い主さんからも、「イタリアンライグラスなら食べた!」「乾燥したての香りで食欲が戻った」という声を多くいただいています。

もちろん、すべてのうさぎさんに同じものが合うわけではありません。

だからこそ年間30種以上の牧草や野菜を育て、体調や季節に合わせた選択肢を提案できる体制を整えています。


■ 最後に

牧草嫌いの克服は、うさぎさんと飼い主さんにとって大きな課題です。

けれど「チモシーを食べない=失敗」ではありません。

大切なのは、うさぎさんが安心して口にできる“自分に合ったごはん”を見つけてあげることです。

飼い主さんの「食べてほしい」という願いに寄り添いながら、私たちうさぎ畑もこれからも微力ながらお手伝いしていきます。

「うちの子はチモシーを食べない」と悩んでいる方は、ぜひ一度違う牧草を試してみてください。

その小さな一歩が、うさぎさんの健康と笑顔を取り戻すきっかけになるかもしれません。