うさぎのチモシーってどういう風に育つ牧草ですか?
こんにちは!私は、うさぎさんのためにチモシーを育てている、うさぎ専門農家のオジマです。
うさぎさんが喜んでくれるチモシーや、牧草、野菜などを栽培しています。
チモシー生産者ならではの視点で、チモシーについて分かりやすくご紹介していきます。
目次
Q.チモシーというのはどんなに栽培される牧草なのですか?
チモシーとは、うさぎさんの好きなイネ科牧草の一つで、ヨーロッパ原産のアワガエリ属の多年草です。
オオアワガエリとも言い、チモシーグラスまたは、ティモシーと表記したりもします。
チモシーの主な産地は、アメリカのワシントン州エレンズバーグやコロンビアベースン、カナダのアルバータ州などです。
それらの産地では、標高が高く、昼夜の温度差が大きいことから、良い品質のチモシーが生産されています。
葉の長さがイタリアンライグラスやオーツヘイと比べて短くて細く、初夏の収穫時の茎の長さが長いので、茎の食物繊維が多く含まれています。
茎の先には棒状の細長い穂が付きます。

他のイネ科牧草と比べて種の大きさが小さく、発芽率があまり良くない品種です。
加えて、秋に種まきして、寒い冬を超えてゆっくり成長するので、栽培期間が長く、畑でじっくり育てるタイプの牧草です。
その分、チモシーは大地から吸い上げた栄養をじっくりと自分の株に蓄積するので、土の恵みをしっかりと茎や葉に反映させている牧草と言えるかもしれません。

上の写真は、チモシーを畑から掘り取ったものですが、細かい根が土の中に張り巡らされているのがよくわかります。
この細くて多い根を通じて、チモシーは土の中の栄養を吸い上げて成長します。
春の終わりから初夏にかけて、出穂(しゅっすい)と呼ばれる穂をつける時期の直前に刈り取られるのが通常です。
Q.チモシーはうさぎさんにおすすめの牧草ですか?
チモシーは、うさぎさんが非常に好む品種のため、うさぎ牧草の代表品種として認知されています。
たくさんのメーカーからうさぎ牧草として販売されているため、安価に手に入れやすいのも特徴です。
チモシーの味についても、香ばしい匂いがして、うさぎさんが良く食べてくれる嗜好性を持っています。
幼少期からチモシーに慣れ親しんだうさぎさんは、高齢になるまで、乾燥牧草はチモシーの一択でも問題ありません。
その意味では、チモシー牧草は、うさぎさんにとっておすすめしたい牧草です。
Q.どんな種類のチモシーがありますか?
1.チモシー1番刈り
畑で育つチモシーを、出穂(しゅっすい)期と呼ばれる穂が出る直前または穂が出た直後に刈り取った牧草を呼びます。
この時期のチモシーは、穂を出すために茎を高くまで伸ばす性質があり、収穫する農家としては、たくさんのチモシー収穫量を見込めます。
たくさん収穫できる方が農家としての経済的なメリットが大きいので、この時期を狙って刈り取り作業を行います。
2.チモシー2番刈り
1番刈りを刈った後、チモシーは株に貯めた養分を使って、再生を始めます。
古い株から新しい茎が発生する仕組みです。この作用を分げつと呼びます。
下の写真は、刈った後のチモシーが再生してきたものです。

こうして、新たな葉が伸びてきたところを刈り取ったのが、2番刈りです。
2番刈りは、1番刈りに比べると、茎が少なく、やわらかい葉が多いので、1番刈りよりも食べやすい印象です。
3.チモシー3番刈り
2番刈りを終えた後も、チモシーは再生を続けます。この再生した葉を刈り取ったものを3番刈りと呼んでいます。
ただ、3番刈りの時期は、暑い夏と重なるため、高温が苦手なチモシーは再生せず、3番刈りが刈れない年もあります。

Q.外国産チモシーの良いところは?
アメリカなど外国産のチモシーの良いところは、生産量が多く、たくさんのメーカーが製造しているため、広く流通しており、手に入りやすいことです。
日本国内では、どこのペットショップへ行っても、チモシー牧草はおそらく販売していると思います。
また、たくさん作られているため、安価で購入できる点も挙げられます。
毎日のチモシーは、うさぎの主食。
たくさん食べてもらいたいから、コスパ良く手に入れたいですよね。
Q.外国産のチモシーのデメリットは?
1.品質のムラ
外国産のチモシーは、広大な農地でたくさんの農家が生産しているため、それらを輸入する製造メーカーとしても、同じ品質のものが毎年手に入るわけではありません。
チモシーの品質は、年ごとの気候に大きく左右されます。
同じ畑でも、昨年と同じ気候だっという年はまずありません。
同じ畑ですら、毎年品質のムラが起こるのです。
まして、広い農地で栽培されるチモシーは、出来栄えが一定でないため、うさぎさんの飼い主さんは、同じメーカーのチモシーであっても、購入するたびに品質が違っているということを感じるのです。
そのため、嗅覚や味覚に敏感なうさぎさんは、チモシーのロットが変わると、急に食べなくなってしまい、飼い主さんはせっかく購入したチモシーを捨てざるをえない、ということが起きるのです。
2.香りが弱い
外国産のチモシーは、刈り取った後、畑に広げて直射日光を当てることで乾燥させます。
いわゆる天日干しという乾燥方法ですが、太陽光で乾燥させると青々とした葉が茶色く退色し、うさぎさんの嗜好性を大きく左右する香りが飛んでしまいます。
このため、香りの弱いチモシーとなってしまい、正直、外国産のチモシーは、うさぎさんの食いつきはあまり良くありません。
3.硬く食べにくい
外国産のチモシー(特に1番刈り)は、農家が収穫量を多く確保するため、背が高く伸びて、茎が多く入った状態で刈り取ります。
そのため、硬くて食べにくいチモシーが出来上がってしまいます。
歯が強く、硬いものが平気な子はいいのですが、体の小さなうさぎさんはそういう子ばかりではありません。
うさぎさんが食べやすいチモシーこそ、うさぎさんに適したチモシーであることは言うまでもありません。
Q.どこの農園のチモシー牧草がおすすめですか?
チモシーの畑にうさぎさんを連れて行ったことはないので、想像ではありますが、大好きなチモシー牧草がわさわさと育っている畑で遊べたら、うさぎさんは喜ぶかもしれませんね。
当園(うさぎ畑)のチモシー牧草は、硬い茎が伸びる前に刈り取りを行うことで、ソフトな食感の乾燥牧草を作るように心がけています。
硬いチモシー牧草が苦手なうさぎさんにもぜひお試ししてほしいチモシーです。
うさぎ畑のチモシーの栽培風景
うさぎ畑の農園で、実際にチモシーを栽培しているところをご紹介します!
1.畑を耕す
トラクターなどで、畑を耕し、種まきの準備をします。

2.種をまく
下の写真は、チモシーの種です。
種のサイズはとても小さく、ごまのような形をしています。
雨の日を狙って、チモシーの種を畑にまいていきます。

3.チモシーが発芽しました
チモシーが無事に発芽、細長い1本1本がチモシーの芽です。

4.収穫時期を迎えました
太陽の恵みを受けて、すくすくと成長したチモシー。
収穫シーズンを迎えました。
うさぎ畑のチモシーは、大きく成長するまで待たずに、若い時期に早刈りします。
チモシーが大きくなると、茎が伸びて葉の割合が減り、うさぎさんの嗜好性が低下するからです。
青々とした葉っぱの割合が多いチモシーを収穫することで、うさぎさんが食べやすい、
やわらかソフトな食感のチモシーを製造しています。

5.収穫したチモシー

収穫したチモシーは、すぐに乾燥の加工場へと運びます。
できるだけ短時間に乾燥工程に入ることで、鮮度の良い、香り高いチモシーを作れます。
6.乾燥工程に入ります
収穫したチモシーは、その日のうちに乾燥機でカラッと乾燥させます。
香ばしいかおりとうまみを凝縮したチモシーは、うさぎさんが喜んで食べてくれます。
チモシーが苦手な子も、うさぎ畑のチモシーなら食べてくれたという声がたくさんあります。

チモシー牧草は、栽培が簡単でなく、手間と時間がかかる品種ではありますが、喜んでもらえるうさぎさんのために頑張って栽培していきたいと思います。
日本でチモシーといえば、うさぎ畑のオジマと言ってもらえるように頑張ってまいります。
チモシー食べない、牧草が苦手など、お悩みではありませんか?
うさぎ畑の食いつき良いチモシーをぜひ試してみませんか?
