うさぎさんに牧草を与える際の量の目安はありますか?
うさぎさんの主食の牧草とは?
うさぎさんに与える主食の牧草は、うさぎさんの健康を支えるうえで欠かせない存在です。
ペレットやおやつも魅力的に見えますが、実はそれらは補助的な役割にすぎません。
牧草こそが本当の意味での「主食」であり、毎日の食生活の中心になるものです。
特に牧草には繊維質が豊富に含まれており、この繊維がうさぎさんの体にとってとても大切な働きをしてくれます。
まず一つ目は「消化器官の健康維持」です。
うさぎさんの胃腸は常に動いていなければならない特徴を持っています。
繊維をしっかり摂ることで腸の動きが活発になり、食べ物がスムーズに消化・排泄されます。
もし牧草をあまり食べず、繊維不足になってしまうと、胃腸の動きが止まり「うっ滞」と呼ばれる危険な状態に陥ることもあります。
これは命に関わる病気であり、日頃から牧草をしっかり食べてもらうことが予防になります。
二つ目は「歯の健康」です。
うさぎさんの歯は一生伸び続けるため、常に摩耗させる必要があります。
硬さと繊維質を持つ牧草を噛むことで、上下の歯が自然にすり減り、長さのバランスが保たれます。
もし牧草をあまり食べないと歯が過長になり、口の中を傷つけたり、食欲不振につながったりすることもあります。
では、その大切な牧草を「どのくらい与えればいいのか?」という点について考えてみましょう。
多くの飼育書や専門家は「牧草は食べ放題で与えてください」と伝えています。
これは一見するととても簡単に聞こえますが、実際には少し注意が必要です。
飼い主さんが「たくさん牧草を入れてあるから大丈夫」と思っていても、実はうさぎさんがほとんど食べていない場合があるのです。
例えば、朝に牧草を山盛りに入れておいたのに、夜見ると牧草入れからなくなっていた。
そこで「しっかり食べてくれたんだ」と安心したとします。
ところが実際は、うさぎさんが遊び半分に牧草を引っ張り出して床に落としてしまい、すのこの下に溜まっていただけ、なんてこともよくあるのです。
その場合、食べ放題にしていたつもりでも、うさぎさんの体には十分な繊維が届いていません。
ですから大切なのは「牧草を置いておく量」ではなく「実際に食べているかどうか」をしっかり確認することです。
ケージの中をよく観察し、牧草の茎の部分を噛み切った跡があるか、食べ残しがどのくらいか、糞の状態がしっかりしているかを毎日チェックするのが理想です。
健康的な糞は丸くて大きめで、繊維質がよく混じっているのが特徴です。
逆に小さくコロコロした糞や、数が極端に少ないときは、牧草が足りていないサインかもしれません。
牧草は単なる「ごはん」ではなく、うさぎさんの体調管理そのものに直結する大事な栄養源です。
見た目には地味で、おやつやペレットのように食いつきが良いとは限りませんが、健康寿命を延ばすうえで一番の鍵となります。
だからこそ飼い主さんは「置いてあるから安心」ではなく「ちゃんと食べてくれているか」を日々見守ってあげることが大切なのです。
牧草を食べる量の目安
牧草を食べる量の目安としては、体重1kg前後のうさぎさんであれば、1日15g以上の牧草を食べることが目安になります。
理想的には100g以上のうさぎ用牧草の摂取が望ましいとされています。
100gの重さで計ったうさぎ牧草を一度手に取っていただきたいのですが、おそらくその量の多さでびっくりすると思います。
その牧草の量であれば、うさぎさんの体がすっぽり隠れてしまうほどの量だからです。
100gの牧草を計ってみました!
みなさまのご家庭におそらくあると思う、片手鍋。

直径20センチほどの片手用のアルミ鍋にチモシーを入れてみました。

アメリカ産チモシーを山盛りに入れていますが・・・

上からの撮影だと伝わりにくいので、横からも撮影。
このチモシー、何グラムあると思いますか?

答えは、100グラム。!
100gのチモシーって、こんなにたくさんの量になるんです!
健康に過ごしてほしいうさぎさんには、1日にこれだけのチモシーを食べることが理想なんです。
ちなみに、うさぎ畑のやわらかソフトチモシーは、やわらかい葉が多く、茎があまり含まれていない牧草。
このチモシーも量を計ってみました。

同じ片手鍋に山盛りに載せております。見た目のかさは、先ほどのチモシーよりも多い感じですね。
さて、計測。

やわらかソフトチモシーは、これだけの量なのに、先ほどの半分の50g。
チモシーは、太い茎の部分が重いことが分かりますね。
牧草をたくさん食べてもらうには?
では、そんな量の牧草はどうやったらうさぎさんに食べてもらえるのでしょうか?
まず大切なのは、飼い主さん自身の意識づけです。
うさぎさんの食生活において、牧草は「おまけ」や「補助食品」ではなく、あくまで「主食」だという考えをしっかり持つことがスタートラインになります。
ペレットやおやつは便利で栄養もありますが、それらはあくまで副菜や補助的な存在。
人間でいえば、牧草はごはんやパンにあたるもので、うさぎさんの健康を支える一番大事な食材なのです。
特に牧草は、豊富な繊維質を含んでいるため、うさぎさんの消化器官を常に動かし続ける役割を果たします。
胃腸の働きが止まってしまうと、うさぎさんは命にかかわる「うっ滞」という状態に陥ってしまうこともあります。
その予防のためにも、毎日十分な量の牧草を食べてもらうことが欠かせません。
また、硬い牧草をしっかり噛むことは、伸び続ける歯を自然にすり減らし、歯のトラブルを防ぐ効果もあります。
つまり牧草は、体の外側からも内側からも健康を守る「万能の食べもの」なのです。
では、どうすれば牧草をたっぷり食べてもらえるのでしょうか。
ポイントのひとつは「牧草時間」を意識してつくることです。
これは、ペレットやおやつがない状態で牧草だけを自由に食べられる時間をしっかり確保するということです。
ペレットやおやつが先に出ていると、どうしてもそちらを優先してしまい、牧草を食べる量が減ってしまいます。
人間でも、お菓子をたくさん食べてしまったらごはんが入らなくなるのと同じですね。
牧草時間をつくるためには、与える順番やタイミングを工夫するのも効果的です。
たとえば朝起きてすぐや、飼い主さんが仕事や学校に出かける前など、日常の決まった時間に牧草をたっぷり与えるようにすると、うさぎさんも習慣として受け入れやすくなります。
また、牧草は新鮮さや香りが大切ですので、常に清潔な場所に置いておき、古くなったものは早めに交換しましょう。
さらに、うさぎさんによって牧草の好みは少しずつ違います。
茎が多いものが好きな子もいれば、柔らかい葉の部分を好む子もいます。
チモシーの1番刈り、2番刈り、3番刈りの違いや、オーツヘイ、イタリアンライグラスといった種類の違いを試してみると、食いつきが変わることがあります。
食べないからといってあきらめず、数種類をローテーションして様子をみるのも良い方法です。
まとめると、うさぎさんに牧草をたくさん食べてもらうためには、まず飼い主さんが「牧草が主食」という考えを強く持つこと。
そして牧草時間を意識して作り、清潔で新鮮な牧草を常に用意すること。
そしてうさぎさんに合った種類や形状の牧草を探し、少しずつ習慣化していくこと。
この3つを心がけるだけでも、食べる量はぐっと増えていきます。
なお、「牧草時間」についての具体的な作り方やコツは、うさぎ牧草相談所の別のページで詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
牧草をしっかり食べて、うさぎさんが健康で元気に暮らせる毎日を目指していきましょう。
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