うさぎさんが牧草を食べないと病気になるの?気になるリスクと、飼い主ができるサポート

「うちの子が牧草を食べてくれない…」「牧草ってそんなに大事なの?」
そんな不安を抱えて検索される飼い主さんはとても多いです。

結論からお伝えすると、うさぎさんが牧草を食べないからといって“すぐに”病気になるわけではありません。
ただし、牧草を食べない状態が続くと、将来的に体調を崩しやすくなるリスクが高まるというのは確かです。

ここでは「なぜ牧草が大事なのか」「食べない日が続くと何が起こるのか」「今日からできる工夫」を、飼い主さんに寄り添いながら丁寧にまとめました。


■ うさぎさんが牧草を食べなくても、すぐ病気になるわけではない理由

まず安心していただきたいのは、
1日〜数日食べる量が減っても、すぐ深刻な病気につながるわけではないということです。

ただ、うさぎさんの体はとても繊細で、毎日の「積み重ね」で健康が維持される動物です。
人間のように「今日野菜が少なかったから明日に取り返そう」ができないため、食生活の偏りが長く続くと負担が蓄積してしまいます。


■ 牧草を食べない生活が続くと何が起こる?

うさぎにとって牧草は単なる「食べ物」ではなく、体を支える「機能食」のような役割があります。
そのため、食べない生活が続くと以下のようなリスクが高まります。

① 毛球症(胃腸うっ滞)のリスク増加

うさぎは毛づくろいをする動物なので、どうしても毛を飲み込みます。
本来は牧草の繊維が胃腸の動きを助け、排泄をサポートしてくれるため問題ありません。

しかし、繊維が不足すると胃腸の動きが弱まり、飲み込んだ毛が溜まりやすくなります。
これが「毛球症」や「胃腸うっ滞」の原因のひとつです。

② 歯のトラブル(不正咬合)

うさぎの歯は一生伸び続けるため、牧草をモリモリ噛んで適切にすり減らす必要があります。
柔らかいものばかり食べていると、
歯が均等に削れず、噛み合わせが悪くなる=不正咬合
につながることがあります。

これが進むと口の違和感でますます牧草を避け、悪循環に陥ることもあります。

③ 腸内環境の悪化

うさぎの腸には、食物繊維を分解して腸内環境を整える微生物が住んでいます。
牧草をよく食べる子ほどこの微生物が活発に働き、病気に強い体になりやすいと言われています。

逆にいうと、牧草の摂取量が少ないと腸内の善玉菌が増えにくく、
便が小さくなる/不規則になる/体調を崩しやすくなる
といった影響が見えることがあります。

④ 肥満・栄養バランスの偏り

牧草を食べない子ほど、ペレットやおやつに頼りがちになります。
しかし、ペレットやおやつは栄養が高いぶん過食になりやすく、
肥満・肝臓への負担・消化不良
などの別のリスクが増えることもあります。


■ “牧草を食べる子ほど健康”と言われる理由

「牧草をしっかり食べている子は、病院に来る回数が少ない」
そう話す獣医師さんも少なくありません。

その背景には、

・高繊維で胃腸の動きが安定する
・歯が均等に削れて不正咬合を防ぐ
・腸内環境が整い免疫力が安定する
・体重が適正に保ちやすい

といった“健康の要”が牧草に凝縮されているためです。


■ 牧草を食べない子、実は“嫌い”とは限りません

飼い主さんがよく「うちの子は牧草嫌いで…」と悩まれますが、
実はその多くが “牧草が合っていないだけ” というケースです。

牧草は同じ「チモシー」でも、
・刈る時期
・乾燥方法
・産地の土壌
・品種の違い
・香り・太さ・葉の割合
などで食感も風味も大きく違います。

そのため、
一番刈りの茎は苦手/二番刈りだけ食べる/イタリアンライグラスは好き
など、うさぎさんにも“好み”があります。


■ 今日からできる!牧草を食べてもらうためのコツ

① 種類をローテーションして飽きを防ぐ

同じ牧草でもロットや季節で香りが変わります。
複数をローテーションすることで食いつきが安定します。

② 刈り取り時期の違う牧草を試す

太めの茎が苦手な子は二番刈り、香り重視なら三番刈りに反応することもあります。

③ 少量ずつ入れ替えて、常に新鮮に

匂いが抜けた牧草は食べにくくなるため、こまめな交換がおすすめです。

④ 置き場所を変えて“食べやすさ”を探す

トイレ横・高めの位置・ケージ外など、好きな場所は個体差があります。

⑤ おやつ・ペレット量を見直す

満腹だと牧草に手が伸びません。少し減らすだけで食べ始める子もいます。


■ 最後に:牧草の悩みは、飼い主さんのせいじゃありません

牧草の悩みは、多くの飼い主さんが一度は経験する“あるある”です。
「どうして食べてくれないんだろう…」と自分を責める必要はありません。

大切なのは、うさぎさんの個性に合う牧草をゆっくり探してあげること。
そして、少しでも食べられた日は「今日も頑張ったね」と一緒に喜んであげることです。

牧草は“健康の土台”ですが、焦らず、うさぎさんのペースに寄り添いながら改善していきましょう。

飼い主さんと、うさぎさんの毎日が、もっと安心で心地よいものになりますように。