うさぎさんが牧草を食べないと病気になる?~飼い主さんが知っておきたい「消化管うっ滞」と牧草の重要性~
「最近、うちの子が牧草を食べる量が減ってきた気がする」
「チモシー嫌いでほとんど食べてくれない…大丈夫かな?」
そんな不安を抱えている飼い主さんはとても多いです。
しかし、うさぎさんの体の仕組みを理解すると、牧草を食べない状態がどれほど危険かがはっきり見えてきます。

ここでは、なぜ牧草が必要なのか、食べないとどうなるのか、そして日常で気をつけるべきポイントを、飼い主さんに寄り添って解説します。
目次
■ 牧草を食べないと「消化管うっ滞」になる可能性が高くなる
うさぎさんは、1日を通して「常に何かを食べ続けること」で胃腸が正常に動く体の仕組みを持っています。
つまり、私たち人間のように空腹の時間が何時間続いても平気…という構造ではありません。
そのため、
・数時間まったく食べていない
・牧草をほとんど口にしない
・急に食欲が落ちた
こうした状態は、胃腸の動きが低下しているサインであり、放置すると**消化管うっ滞(しょくかんうったい)**に進行することがあります。
消化管うっ滞は治療が遅れると命に関わる危険な病気です。
「少し様子を見ようかな」と後回しにせず、日々の食べる量やスピードを観察することがとても大切です。
■ 「少し食べたから今日は大丈夫」は危険
人間の感覚で「さっき牧草を食べたし、数時間食べなくても問題ないよね」と思ってしまいがちですが、これは大きな誤解です。
うさぎさんの胃腸は、
“24時間動き続けていて初めて健康が保たれる”
という前提で働いています。
そのため、朝は食べていたのに夕方から急に食べない…という変化も注意が必要です。
■ なぜ“牧草”が必要なの?ペレットじゃだめ?
ペレットは栄養価が高く便利なフードですが、常に食べ続けるにはカロリーが高すぎます。
そこで必要となるのが「低カロリーで高繊維」のイネ科牧草です。
牧草はうさぎさんにとって、
・胃腸の動きを保つ繊維源
・歯をすり減らす天然のやすり
・毛球症の予防
・低カロリーで“食べ放題”ができる主食
として欠かせない存在です。
特に重要なのが歯の健康。
うさぎさんの歯は一生伸び続けるため、牧草を噛むことで自然に摩耗させないと、**不正咬合(歯のトラブル)**につながってしまいます。

■ 牧草を食べない理由は“嫌い”ではなく“サイン”かも
「うちの子は牧草嫌いだから仕方ない」と思い込みやすいですが、本当は違う理由が隠れていることが多いです。
・牧草の香りが弱い
・粉っぽくて食べにくい
・固すぎて噛めない
・その時の体調に合っていない
・歯が痛い
このように、環境や体調による原因がほとんど。
牧草の種類や刈り取り時期を変えるだけで食べ始める子も多くいます。
■ 消化管うっ滞を疑うべきサイン
以下の状態が見られたら、すぐに注意してください。
・うんちが急に小さくなる・少なくなる
・床に伏せてほとんど動かない
・呼んでも反応が鈍い
・お腹が張っている
・ペレットも牧草も食べない
・飲水量が急に減る

これらが数時間続く場合、早めに動物病院へ行くことをおすすめします。
■ 日常でできる「牧草トラブル予防」3つのポイント
① 新鮮な牧草をこまめに補充する
香りがしっかりしている牧草は食欲を刺激します。
古くなった牧草は早めに交換するのがポイント。
② 1種類にこだわらず“ローテーション”する
チモシー1番刈り、2番刈り、オーツヘイなど、複数の牧草を試してみましょう。
③ サンプルや少量から試して好みを探る
うさぎさんは好みがはっきりしているため、いきなり大袋を買うより、まずは少量から試すのが安心です。
■ まとめ:牧草を食べないのは、うさぎさんからのSOSかもしれない
牧草は、うさぎさんの健康を支える“命のごはん”。
胃腸・歯・腸内環境・心の健康まで、すべての土台になります。
もし牧草を食べない日が増えているなら、それは身体からのSOSかもしれません。
小さな変化に早く気づいてあげることが、うさぎさんの健康寿命を守るいちばんの近道です。
食いつき良い乾燥牧草をぜひ試してみませんか?

